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院長コラム一覧
2015.12.15カテゴリー : 院長の独り言 , 二重
まぶたの手術では、より 綺麗な傷あと を求めて、手術、縫合の際に、以前より手術用の拡大鏡を利用してきました。

拡大鏡を利用すると、切開部分の断面が詳細に見え、ずれることなく綺麗に縫うことができます。
最近、二重の切開の傷あとをより綺麗にするために、マイクロサージェリーによる縫合術も始めました。
マイクロサージェリーとは、あまり耳にしない言葉かもしれませんが、「顕微鏡下手術」の事をいいます。

実体顕微鏡で見ると、通常、拡大鏡で見ている術野の見え方とは世界が違います。
初め「まぶた全体」が見えていたのが、実体顕微鏡でズームしていくと視野一面「皮膚」だけになり、さらにアップしていくと「皮溝、皮丘」(いわゆる肌のキメ)が見え、、、眼瞼の皮膚を縫合するのに皮溝、皮丘が見えるくらいまでズームする必要はありませんが。
Google map で例えると、日本が映っているところから拡大していくと、近畿地方が見え、京都が見え、番地、家まで見えてくる!そんな感じです。
顕微鏡を使うと、まぶたの皮膚を縫合する場合も、寸分のズレもなく縫合できます。

まぶたの皮膚は、そこそこに縫えていると、それなりに綺麗に治ってくれるところです。拡大鏡を使って縫合するだけでも、一般的な目で見ると十分 綺麗な傷あと に見えます。そこをあえて顕微鏡を使って縫合しようというのは、これはもうオタク的なこだわりでしょうか。
より 綺麗な傷あと を求めたい方は、当院に来られた際、「マイクロサージェリーの縫合で!」もしくは「顕微鏡下縫合で!」と申し出て下さい。
2015.11.17カテゴリー : アゴ
アゴ プロテーゼ は、アゴのラインがシャープに、そしてフェイスラインがきれいに見えるようするために行います。
他院でされた手術も含めたくさんの患者さんを診ていると、アゴのプロテーゼが上や左右にずれて入っているのをたまに見かけます。
これは、手術時のプロテーゼを入れる位置が不適切だったのではなく、大半はプロテーゼを入れた後、位置が固定されるまでの間に徐々にずれていったのだと思います。
術後、しゃべったり、物を食べたりアゴを動かす動作によりプロテーゼに圧がかかり徐々に位置がずれていきます。
アゴ プロテーゼ はずれても、鼻ほどずれていることがわかりにくく、見た目上、問題にならないことが多く、中には手術を受けた本人も気付いていないこともあります。
しかし、 アゴ プロテーゼ がずれないにこしたことはありません。
そこで、私が行っているずれないための工夫を二つ紹介します。
一つは、 アゴ プロテーゼ を入れる骨面をなだらかにする事です。
プロテーゼをアゴの骨の真上に入れるわけですが、アゴの先端中央は少しだけ骨が凸になっています。
この部分をそのままにしておくと アゴ プロテーゼ が右か左にずれやすくなってしまいます。
そこで、 アゴ プロテーゼ の安定がよく、フィットするように、この部分を少しだけ削ってなだらかにしています。

もう一つは、 アゴ プロテーゼ の位置が固定されるまでの間、 アゴ プロテーゼ を外から糸で固定をしています。


手術をした直後から固定もなくアゴを動かせばプロテーゼは頭側(上方)にずれ上がってきます。位置がある程度固定されるまでの間(7-10日間)、アゴを動かさないようにすればプロテーゼはずれませんが、現実問題として飲まず食わず、しゃべらず7-10日間を過ごすことは不可能です。
そこで一般的には、 アゴ プロテーゼ のずれを予防するためにテープ固定を行います。
しかしテープ固定だけでは固定力が弱く上方へずれ上がり、もともとのアゴの下端とプロテーゼの下端が二つに分かれて触れていることをたまにみかけます。
そこでよりずれ上がりを防止するために写真のように アゴ プロテーゼ を皮膚側から糸で1週間固定をしています。

これが、 アゴ プロテーゼ が上下左右にずれないようにしている当院でのひと工夫です。
2015.10.13カテゴリー : バスト
シリコンバッグで 豊胸術 を行う場合、シリコンバッグ(以下バッグ)を入れる場所としては、大胸筋下と乳腺下の二つの場所があります。
大胸筋とはボディビルダーの人がピクピクさせる胸板の筋肉です。大胸筋下法では、その筋肉の下を剥がしスペースを作り、そこにバッグを入れます。

乳腺下法では、名前の通り乳腺の下にバッグを入れます。乳腺は乳頭の奥に触れる弾性硬の丸いお餅位の大きさのものです。

大胸筋下法、乳腺下法、それぞれ特徴があります。
大胸筋下は皮膚表面からバッグまでの距離が遠いので、見た目も触ってもバッグの形状がわかりにくいのが特徴です。釣り鐘型の綺麗な形に見えやすいですが、大胸筋下というのは元々胸の大きい人でも何も存在しないスペースです。
ということは、生理的に何も存在しないところに物を詰めるということは、不自然なことも多少生じます。
‘力こぶ’と言われるように、筋肉は力を入れると硬くなります。大胸筋においても同様のことが言えます。
つまり大胸筋下にバッグが入っていると、力を入れた状態で触ると硬い筋肉の下にバッグが存在することになるので胸が硬く触れます。またバンザイした状態で触られると、大胸筋が張っているので、その場合も硬めに触れる傾向にあります。
一方、乳腺下では、乳腺の下(大胸筋の上にあたる)のスペースにバッグが入るので、元々の胸を袋と例えるとすると、その袋の中で元々の乳腺とバッグが鏡餅状態になって重なっている感じになります。つまり、元々胸が大きい人と同じ場所にボリュームを増やすことになります。
よって、触り心地、揺れ動きが自然に見えやすいということが言えます。だた、皮膚の表面から言うと大胸筋下より浅い場所なので、皮下脂肪が薄く肋骨が浮き出ているような方はバッグの形状が外見上ややわかりやすいというデメリットもあります。
まとめると、
豊胸術 において、多少胸が硬く触れても裸になった状態での胸の形を重要視する方、また痩せていて元々の胸の膨らみがほとんどない方は、
大胸筋下
見た目の形より揺れ動きや触った時の柔らかさを重要視する方は
乳腺下
が適していると考えます。
ただ、元々の胸の大きさ、痩せている、太っている、皮膚の張り具合、またどのくらいのサイズのバッグを入れるのか等によっても、触り心地、見た目の形状が変わってくるので一概に決めつけることもできませんが。
要は、 豊胸術 は、体型、元々の胸の大きさ、バッグの入れる場所、バッグのサイズ等により見え方、触り心地が変わってくるので、誰にでも同じサイズのバッグを同じ場所に入れるのではなく、個人個人の希望を聞きながらバッグを入れる場所、バッグの種類・大きさをよく相談し、決めることが非常に重要であると言うことです。
豆知識 - 豊胸用 バッグについて-
豊胸用 バッグ(以下バッグ)としては最近シリコンバッグ、中でもソフトコヒーシブシリコンを使用したバッグが主流です。
まず、シリコンバッグとはどんなものか。シリコンバッグはシリコンの樹脂でできた膜(シリコン膜)とその中に入っているジェル状のシリコンジェルからなっています。お饅頭の「かわ」と「あんこ」みたいなものです。「かわ」がシリコン膜にあたり、「あんこ」がシリコンジェルにあたります。
コヒーシブシリコンとは中身が昔のドロドロの液状のシリコンとはちがい、もしバッグが破損しても中のシリコンが流れ出さず一塊として取り出すことのできる塊状(柔らかいわらび餅のイメージ)のシリコンジェルからなっているバッグのことをいいます。ソフトコヒーシブシリコンとは、その中でも特に軟らかいタイプのものを指します。
また、バッグの表面(シリコン膜)には、ツルツルしたタイプのもの(スムースタイプ)、ザラザラしたタイプのもの(テクスチャードタイプ)、そしてその中間的な(表面が微細な顆粒状でツルツルとザラザラの中間)マイクロテクスチャードタイプの3種類があり、各々特徴が違い、乳房の動き方、触り心地に差がでてきます。
相談の上、貴女の目的にあったバッグを提案させて頂いております。迷っておられる方は、一度来院して、 豊胸術 やバッグについての話を聞き、実際バッグを手に取り触ってみれば、より自分の中で具体化したものが見えてくるのではないでしょうか。
2015.10.02カテゴリー : バスト
豊胸術 傷あと 、、、他人に気付かれないかどうか皆さん気にされるところです。
豊胸術をシリコンバッグを用いて行う場合、どこかを切開しなくてはバッグが入りません。


切開すると場所としては、乳房下溝切開(胸の膨らみの一番下に沿っての切開)、乳輪周囲切開(名前の通り乳輪に沿った切開)、腋窩切開(ワキのしわの沿った切開)の3種類があります。
切開する部位にはそれぞれの特徴があります。
乳房下溝切開や乳輪周囲切開は服や水着を着ていれば傷はわかりませんが、裸になると傷あとが見えてしまいます。
腋窩切開はワキを上げると傷あとが見えますが、胸の周囲には一切傷あとが残りません。
それぞれ、一長一短です。
きれいに縫合できる技術が有ればどこを切開してもさほど目立つ傷あとにはなりませんが、その中でもワキを切開するのが一番傷あとが目立たないように思います。
ワキの傷あとは2-3年たってくると、手術したご本人もどこに傷あとがあるのかわからないくらいにきれいに治っている方もおられます。



というようなことで、私は豊胸術の際、ワキの切開からアプローチしている事がほとんどです。
ただ、ワキからのアプローチが術野(手術をする目的の場所)から一番遠いので、ワキからは手術に際し細かい操作をしにくいという事が言えます。
なので、豊胸術後の修正手術などで細かい操作が必要とされる場合には、乳房下溝の切開から手術を行っていることもあります。
2015.09.07カテゴリー : 二重
二重 小切開法 は、キズが短くてすむ上に切開するのだから取れないんだろうと言うことで 二重 小切開法 を希望される方がたまにおられます。
二重の切開法には、部分切開法(小切開法、中切開法)と全切開法の二つがあります。
部分切開法(小切開法、中切開法)は二重のライン全体の1/3もしくは2/3位を部分的に切開する方法です。
それに対して全切開は名前の通り二重のラインを全体的に切開して二重を作成します。
二重 切開法 の基本的な考え方として、 二重 小切開法 , 中切開法 , 全切開法 いずれの場合も二重のラインを切開し一種の傷跡として二重を癖付けするというものなので、取れない二重をつくることが目的になってきます。
例えば、包丁で手を切って縫ったとしましょう。
その傷跡が1年後にパックリ開くことがないように、二重も切開すると消えることのない一生ものの二重を作ることができます。
ここまで読むと、少しだけ切ってとれない二重ができるなら、 二重 小切開法 がいいのではと思う方が多いのではないでしょうか。

確かに 二重 小切開法 は短い切開の傷跡でしっかりしたラインを入れることができるのでよい方法と言えばよい方法なのですが、「二重が自然に見えるように」と言うとまた話は別になってきます。
二重 小切開法 は、瞼がすっきりしていて奥二重を作成する場合にはよいのですが、瞼が腫れぼったい方や幅の広い二重を希望する場合にはあまり向いていません。
そういう場合に 二重 小切開法 で二重を作成すると、まばたきをする時や伏し目がちの時に切開した部分だけが食い込み、瞼の一部が凹んだように見えます。
ラインのでき方もまぶたを開け出すと小切開した部分だけがまず二重として入り込みだしワンテンポ遅れて全体のラインが入ってきます。手術を受けられたら本人はまぶたを開ける瞬間をあまりみる機会がないので、気にならない?気付かない?場合が多いのですが。。。
そして目をつむった状態では、 二重 小切開法 を受けられた方に、睫毛と二重の間の組織がそぎ取られたように凹の状態になっている事をよく見かけます。
さらに、切開という名前が付いていますが 小切開法 の場合は、二重のラインに余りにも負担が大きいと二重がはずれて消えてしまうことがあります。
なので、 二重 小切開法 は症例を選んでする場合には良い方法と思いますが、全てのまぶたに対して、少ないキズ跡で取れない二重ができるというわけではありません。
では、二重が一番ナチュラルに見えるのはどの方法でしょうか?
意外にも全切開法です。あくまでも自分の手術成績の評価ですが。。。
(全切開法の手術自体の自然に見えるための工夫は以前のコラム(2015.7.2)に書きましたのでそちらをご参考にしてください)
二重 小切開法 , 中切開法 , 全切開法の中でどれが一番自然に見えやすいかという比較をした場合、全切開法では、二重の癖を一部だけ付けるのではなく、二重のラインを全体に固定し癖付けするので、構造が元々の生まれつきの二重の構造に一番近くなります。

構造が一番近いと言うことは、つまり、目を開けたり閉じたりする動作の中で一番自然に見えやすいと言えます。
そのような理由で、当院では 二重 切開法 の中では全切開をしている数が圧倒的に多い現状です。
しかし、奥二重の時に小切開法、普通の幅の二重の時に中切開法を選択することももちろんあります。
要は、キズが短いとか腫れが少ないとか聞こえがよい事だけに左右されるのではなく、手術の特徴と自分の目的が合っているものを選ぶことが大切と考えます。