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2025.12.05カテゴリー : 院長の独り言 , キズ跡

目立つ傷跡、目立たない傷跡のちがい

「綺麗な傷跡」、「目立つ傷跡」、一体何が違うのでしょうか?

 

綺麗な傷跡とは、幅の細い傷跡(顔なら幅0.2mm、体なら0.5-1mm)

の事を言います。

1m離れたらわらかないけれど、近くから見たらわかるくらいです。

 

では、目立つ傷跡とはどんな傷跡を指すのでしょうか。

傷跡の幅が太く(5mm-1cm)、魚の骨の様に例えられるスーチャーマークが見られる傷跡です。

 

 

このスーチャーマークが残り太い目立つ傷跡にどうすればなるのでしょうか。

 

一般的な外科は、病気の病巣を切除するのが手術の目的で、「皮膚は縫って閉じればよい」が基本なので、太い糸でしっかりと縫います(1層縫い)。

(外科の手術で10分で縫える傷を1時間かけて縫うわけにはいかないので仕方ない部分ではあります。)

1層縫いなので、傷がきっちり引っ付いてから抜糸しないと傷が開くので、きっちり引っ付くまで約2週間おいて抜糸を行います。

きっちり引っ付くまでの間、しっかり太い糸で縫われているので、糸形の跡が残ります。これがスーチャーマークと言われるものです。

そして、傷は引っ付いてもその後の日常生活の中で緊張がかかり伸ばさせるので傷跡が徐々に広がって太い傷跡になっていきます。

 

形成外科では、傷跡を綺麗に縫うのも仕事のひとつなので、皮膚の表面に見えている糸以外に、真皮縫合と呼ばれる皮膚の中でも縫合を行います(2層縫い)。

その真皮縫合が皮膚を閉じるほとんどの役目をしております。

皮膚の表面の糸は、キズを閉じる目的ではなく、縫う皮膚同士に段差ができず表面がぴたりとキレイに合うように、微調整するための糸です。なので、繊細な作業のため、細い糸を使います。

そして、キズを閉じるメインの役割をしているのは真皮縫合なので、皮膚の表面に見えている糸は、糸の跡形(スーチャーマーク)が残る前に抜糸をしてしまいます。顔は4日目抜糸。体は7日目抜糸が基本です。そして、キズが治った後、傷跡が太くならないように、太くなる幅を予測して、真皮縫合はキズを盛り上げて縫います。

そうする事で、時間経過と共に傷跡が広がって太い傷跡になるのではなく、盛り上がりが徐々に平らになり細い傷跡のままキープできるのです。

一般的には知られてはないですが、縫い方による目立つ傷跡と目立たない傷跡には、こんな違いがあるのです。